本稿は私の進行中の研究の一部であり、私の研究全体として他の部分と一緒にまとめられる予定である。現在進行中の研究では、川端康成によって書かれた『雪国』のインドネシア語への翻訳過程に、日本語の言語と文化がどのように影響もたらすかを分析する。VinayとDarbelnet、そして長谷川葉子が提案した翻訳方法に基づいて、抽象的な文化と具体的な文化の両方の翻訳を分析する。そして、この小論文では、直接翻訳と間接翻訳の両方で、日本の具体的な文化がどのようにインドネシア語に翻訳されたかに焦点をあてる。間接翻訳の原文は英語翻訳版であるため、間接翻訳分析の参考として、すべての分析データに対応する英語翻訳版も記述する。具体的な文化の分析は、日本社会にのみ存在するものの翻訳に焦点をあてる。分析は、翻訳理論家のVinayとDarbelnetによって提案された7つの翻訳方法と、長谷川葉子によって提案された2つの翻訳方法に基づいて行われる。
 分析の結果から、日本の具体的な文化の直訳では、借用法(borrowing)が最も多く使われているが、間接翻訳では、適応法(adaptation)と省略法(omission)が最も頻繁に使用される方法であることが分かった。さらに、日本語をインドネシア語に翻訳するにあたって、上記の9つの方法にない新しい方法が一つあることが分かった。それは、ソース言語で他の単語を借りて、別の単語を翻訳する方法である。この方法は主に衣服に関連する単語を翻訳する際に使用される。この方法は、インドネシア語直訳版とインドネシア語間接訳版の両方に見られるだけでなく、英語訳版にも見られる。
 最後に、分析の結果から、日本の具体的な文化をインドネシア語に翻訳するためには、物事のカテゴリーを説明する単語を挿入することが効果的な方法であることを提案した。すなわち、対象言語では認識されていない具体的な文化にもかかわらず、物事のカテゴリーを説明する単語を挿入することで、読者は原文の単語に最も近いものを想像することができる。

キーワード:具体的な文化の翻訳、ソース言語の借用語の新型